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おとな休み<<アジア>>日本の外でもお正月 [MailMagazine]

おとな休み<<アジア>>日本の外でもお正月

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アジアを旅していると「日本もやはりアジアなのだなあ」と強く感じてしまうことがある。

旅先であらためて「日本を振り返る」というほど大げさなものではなくて、
なにげなく日本のなにかと重なってしまうシーンに出会うのだ。

欧米で感じることがなく、アジアで日本との重なりを強く感じさせられるのが「正月」だ。

欧米ではただの「新しい年」の始まりでしかない一日を、
宗教や暦の違いこそあれ、アジアではとても大事にしている。

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中華系住民が多い国では太陽太陰暦の正月、つまり「旧正月」を盛大に祝う習慣が根強い。
中国、台湾はもちろんシンガポール、マレーシア、インドネシアといった華僑、客家の人々が暮らす国でも同様だ。
年明けに「魔」除けのための爆竹を盛大に鳴らし、派手な獅子舞が舞い踊り、「魔」を祓う。
「破魔矢」や「お屠蘇」など「魔を忌む」習慣にどことなく重なる、と考えるのは身びいきが過ぎるだろうか。

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「形が財布に似ているだろ。それを食べれば財産が貯まるというわけさ。子宝にも通ずるって意味もあるんだよ」

中国では年の暮れにたくさんの餃子を作り、大きな皿に盛りつけた水餃子を家族で囲んで食べる。
子供の頃、家族揃ってコタツで食べた年越しそばが重なる。

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「日本では年越しそば、なんて習慣がありますよ。でも餃子というと焼餃子が主流です」

「焼餃子?そんなものは前の日の余りものの調理法だよ。餃子といえば水餃子が当たり前さ」

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「日本の餃子は皮が薄くて、具が多いほうが喜ばれるのですが」

「それならシュウマイを食べればいい。中国では『餃子は皮を味わい、シュウマイは具を味わう』というんだ」

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「正月の味はやっぱり餃子ですか?」

「いや、チマキだね。木の実やキノコといったその家独特の具と母親の味付け、
家々によって味が違うからチマキを見ると実家の味を思い出すのさ。ホラ、来た、食べてみな」

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チマキの熱いモチ米を噛みしめながら、
具材や味付けなど色とりどりの日本の雑煮に思いは飛んでいた。

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【Escape】【おとな休み】(サイバーエージェント社)は数名の執筆陣で、週ごとに交代、
それぞれが所有する写真を大きく生かしたメールマガジンでした。
メールマガジンのブログ掲載はここまでです。
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Escape マッターホルンは土足厳禁─スイス [MailMagazine]

Escape マッターホルンは土足厳禁─スイス

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イタリア、フランス、リヒテンシュタイン、ドイツ、オーストリアという国々に囲まれ、
中央にアルプスを抱く国・スイス。

ローマ帝国の時代から強固な隣国にさいなまされた影響を公用語に残している。
北部と中部では主にドイツ語(全人口の64%)、
西部ではフランス語(19%)、
南部ではイタリア語(8%)、
南東部のグラウビュンデン州の一部で使われるロマンシュ語(0.5%)と、
4つの言語が公用語となり、独自の母国語を持たない珍しい近代国家だ。

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19世紀、豊かになったヨーロッパの人々は「リゾート」という考えをもち始めた。

湖畔や山間部では飽き足らず、こともあろうに人を寄せ付けない険しさを秘めたアル
プスの山々にさえ、自分たちが憩う場所を求め始めたのだ。
鉄道をひき、トンネルを掘り、登山道を作り、山小屋を建て、
考えもつかない場所を「リゾート地」にしてしまった。

21世紀の私たちはその恩恵を甘受している。

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ツェルマットの街はスイスの数あるリゾート地の中でももっともポピュラーな場所。
マッターホルンの玄関口はまさに土足厳禁、自動車は入れない。
隣町・テーシュに車を停め、電車を乗り継ぐ「パーク&ライド」方式、
街の中では電気自動車と馬車だけが行き来する。
環境保全は無駄なノイズも消し去り、騒音に鈍感だった自分に気づかせてくれる。

駅を降りるとマッターホルンの頂が出迎える。
ホルンの名のとおり、獣の角が街を見守るようだ。

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「このテラスから眺めるマッターホルンは最高だろう?
朝や夕方には赤く色づいてね、それをお客さんに見せるのが楽しみさ。
食事が終わったからって、部屋にこもっちゃダメさ。こいつを見ないとね」

小さなテラスでホテルのオーナーが自慢気に話してくれた。

スキー場としても名を馳せるスネガへは地下ケーブルで約3分。
ヨーロッパで最も高い展望台クライン・マッターホルン(3,883m)へはロープウェイで約20分。
人気路線は3,130mのゴルナグラート展望台行きの登山電車、約40分で別世界へ誘ってくれる。

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4,000mクラスの山々が老若男女を問わず、誰でも足を伸ばせる、信じられないぐらい
手軽なリゾートがここにはある。
夏のハイシーズンは、世界中からの観光客でいずれの車内もラッシュ並、
冬はスキー・クレイジーが肩を並べる混雑で、オフがないリゾートなのだ。

「あなたはどちらから?」
登山電車の車内で向いに座った男性に話し掛けた。

「ははは、私は地元の人間だよ、土産物屋のオヤジさ」

「これは失礼、車内にいる人はみんな観光客と思ってしまって」

「たしかに仕事で乗っている人は少ないよな、みんな観光客だ。
そういうアンタはどこからだい?」

「日本人ですよ。珍しくもないでしょう?」

「そうだな、でも英語を話す日本人は珍しいよ」

「日本人って、どういうイメージなんですか、スイスでは?」

「静かで礼儀正しいね、店をやっていても思うよ。
英語をしゃべらんのはどうにかならないのかネエ」

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「なにも言わず店に入ってきて、見回して店を出て行くだろ?
初めは盗みに来たのかと思ったよ。次第にそうじゃないことはわかったけど。
話し掛けると目をそらすしネエ。初めは奇妙だったな」

「習慣ですね。英語を怖がっている人が多いのも事実です」

「日本人のお客さんは増えているからね、わたしらも日本語を学ばないといかんね。
アンタ、日本語を教えてくれるか、店の手伝いをしてくれないか?
うちには日本語のできるヤツがいないんでね」

「車内で就職口が見つかるとは思いませんでしたよ」

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「就職っていったって、うちじゃ宿と飯ぐらいしか世話できんよ、
日本人の給料はこのあたりの山のように高いそうだからなあ」

土産屋のオヤジサンの高笑いが登山電車の車内に響いた。



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Escape ビーチでジャラン・ジャラン─シンガポール [MailMagazine]

Escape ビーチでジャラン・ジャラン─シンガポール

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あれはまだシンガポールの旅行会社で働いていたときのことだ。

短い休みに乗り込んだ北へ向かう長距離バスの旅が、
思いがけないアジアン・ビーチ・リゾートとの出会いへと繋がった。

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いわゆる現地旅行会社の日本人マネージャーとしてオフィスに詰めていた。
年末やゴールデン・ウィーク、そしてお盆休みを絡ませた夏休みの時期は、
日本を脱出してきた渡航客が倍増し、オフィスにはファイルが山積みになり、観光客を案内するガイドはテンテコ舞い。
海外旅行客は増加の一途で、シンガポールも例外ではなく、
ピーク・シーズンになれば休みは吹っ飛び、深夜までオフィスに缶詰、鳴りまくる顧客用の非常電話に吠え、
日本からひっきりなしに届くドキュメントとにらみ合う日が続いていた。

ホーカーズ(屋台)がデリバリーしてくれる夕食をほおばり、
気づけば朝食のデリバリーをオーダー、オフィスで夜を明かすこともしばしばだった。

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ホテルはここで検索!

ピークを乗り越えると休みを取れなかったツケを会社に払わせるために直談判、
有無を言わさず短い休みをもぎ取ると、ザックに荷物を放り込み、町を離れる算段をした。

近隣のビンタン島やティオマン島といったリゾート・アイランドに向かうフェリーもあったが
“男ひとりのリゾート”はなんとなく持て余しそうで照れくさい、
手軽な長距離バスに飛び乗るのが常だった。

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ショート・バケーションの行き先に選んだのはマラッカ。

5時間のバス旅は疲れた身体を充電するにはほどよい距離だった。
安宿に荷物を放り込み、リラックスして船着場で美しい夕陽を眺めていた。
夕方のこの時間、まとわりつくような熱気も和らぎはじめ、
濃い夕陽の赤が心地よく身体を包んでいる。

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「観光客かい? なにしてるのさ?」  
タバコを吹かす職人風のオヤジサンに話し掛けられた。

「ジャラン・ジャランだよ」  
マレー語で“散歩”を意味する“ジャラン・ジャラン”という単語を使って、おどけて答えてみた。

「そいつはいい。あんた、マレー語ができるのかい?」

「それは無理だ。シングリッシュ(シンガポール訛りの英語)がいいところさ」

「アラマ~」

「あらま~」(アラマ~はマレー語と日本語では同義語)  
オヤジサンに差し出されたタバコを断りながら、笑いあった。

「明日もジャランジャランかい?」

「いや、特に予定はないんだ。いいアイデアはないかな?」

「島に行かないか? こんなヘドロで汚れた海岸じゃないきれいな島が近くにあるよ。
船を持っているからどうだい?」  
ていのいい客引きかあ、と苦笑いしながらも予定がない一人旅、だまされたとしても気楽なもの…。

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翌日、約束どおりその場所に向かうと、タバコをくわえた彼がいた。

船は沖合い5kmにあるプラウ・ベサールという名の島を目指す。
船旅は、わずかな時間で終わった。この島はいわゆる無人島。
今でこそゴルフコースやガイドつきのツアーなども催されているが、
この頃は本当になにもない島だった。

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「泊るところはないからな。夕方、またこの場所に迎えにくるよ」  
海岸には観光客や地元の海水浴客がチラホラ。
無人島、というので貸切を夢見たがそううまくはいかない。
ところが目の前には、そんなことがどうでもよくなるほど、美しい砂浜が広がっていた。
こんなに近いのにマラッカの汚れた海岸とは、別の世界が広がっていた。

オヤジサンの言葉にウソはなかったのだ。

人の手が加えられていないビーチ、荒々しい自然のままのジャングル、
人造物が産み出すノイズは一切なく、数えられるほどの人しかいない景色が絶品だった。
こんな場所なら“男ひとりのリゾート”も悪くない、と思い始めていた。

「夕方の迎えを無視したらどうなるのだろう」

ビーチの木陰に寝そべりながら、そんなのんきなことを考えていた。
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Escape vol.127 変わりゆく世界遺産の街─ブダペスト [MailMagazine]

Escape vol.127 変わりゆく世界遺産の街─ブダペスト

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つい最近までヨーロッパのアチコチは壁で区切られ、鉄条網が張り巡らされ、
気軽な観光客はもちろん、古くからの住民たちの往来に制限を加えていた。

“政治”という名のバケモノは、歴史あるこの大陸にいともたやすく線を引き、
東と西の人々が勝手に行き来できないルールを作った。
「ベルリンの壁」は東と西を分け隔てるシンボルであり、“政治”という名の力のオブジェであった。

その象徴崩壊の序曲はここから始まる。

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東西の冷え切った関係に終止符を打つ初めの一滴が、ハンガリーという国からもたらされたことは意外と知られていない。

小さな波紋は1989年に起きる。

この年の5月、ハンガリー政府はオーストリアとの国境にあった鉄条網の撤去を決定、大いなる英断をみせた。
これによりパスポートやビザが必要ではあったが、はるかに制限のゆるくなったハンガリーを経由して、
オーストリアへ向かう東ドイツ住民が激増、さらにこの夏、波紋はさざなみへと変化する。

ハンガリーの反政府団体が「東西ヨーロッパを自由に行き交う」というスローガンを掲げ、
『汎ヨーロッパ・ピクニック』というイベントを企画。
8月19日、東側諸国から集った参加者たちは、国境を越えたオーストリア・ショブロンの町を目指す。
ハンガリー、オーストリアの国境警備隊もこの集団を黙過、1000人近い東ドイツ住民が流れ出たといわれている。

この「ピクニック事件」の後も、ハンガリー経由の東ドイツ住民流出は後を絶たない。

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さざなみは波へと変わり、これによりベルリンの壁は無力化し、東ドイツ国内ではデモが頻発する。
東ドイツ政府の手に負えなくなった大波は、
東西対立のシンボルでもあったベルリンの壁をあっさりと飲み込むほどに成長する。

1989年11月9日「ベルリンの壁崩壊」。

ハンガリーから生じたひとしずくは凄まじいパワーを持った津波に変貌した。

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“ドナウの真珠”“ドナウの薔薇”と称されるハンガリーの首都ブダペスト。
王宮の丘がある西側旧市街のブダ・サイド、
東側平野部の新市街ベスト・サイドを抱くかのように、ドナウ河が南北に流れている。

オー・ブダ(古いブダの意)にケルト人が住み着いたことに始まり、
1世紀にローマ人が城塞を築き発展したブダの丘と、
美しい国会議事堂やオペラ座を抱えるベストの街は、渡し舟で結ばれていた。

1849年、ふたつの街をつなぐセーチェーニ橋が完成。
美しきドナウは“鎖橋”という美しいアクセサリーをまとい、さらに美しさを増した。

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「どこから来たのですか?」 
ベストの街なかでブダ行きのバスを待っていると、年配の男性に話し掛けられた。

コチラが恥ずかしくなるような美しい英語に戸惑いながら日本人であることを告げると、気さくな感じで話し始めた。
「いいときにアナタはこの国を訪れた」

「なぜですか? 開放された、というにはだいぶ時間がたっている気がしますが」

「西側との隔たりがなくなって十数年、数年後にはユーロ加盟が待っています」

「ますます発展する、ということですよね?」

「発展するでしょうね。新しいホテルが建ち、観光客が押し寄せ、看板を規制する法律がないのであちらこちらにホラ」
そういって指差した古いビルの上には、有名なスポーツ・メーカーの真新しい看板が不釣合いな感じで突っ立っていた。

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「今はまだ、古き良きブダペストが残っています。だからアナタに『いいときに訪れた』といったのですよ。
この街は昔の色がドンドン薄まって、西側の経済力に染まっていってます。
もっとも東側の頃の色合いに戻してくれ、なんて言うはずはありませんがね」  

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ドナウは美しく静かに流れていた。

ここが東側であろうと西側であろうと…。

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Escape vol.125 世界遺産でオムレツを─モン・サン・ミシェル [MailMagazine]

Escape vol.125 世界遺産でオムレツを─モン・サン・ミシェル

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旅先で、そこを訪れるたびにかならず決まった思いに心が染まる、という体験がないだろうか。

ある場所では常に驚愕に襲われ、
ある場所ではいつも郷愁に駆られ、
ある場所では何度も昂揚に包まれ…。

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繰り返し訪れているのだから、いわゆる“デジャ・ヴ(既視感)”とは少し違う。

はじめはその土地への先入観、
あるいは紹介記事やテレビの印象から来るものかと思ったのだが、
最初に訪れたときに感じたものがその後も繰り返し湧き上がるので、これとは違う。

月日を経て、そこに関する情報や知識を取り入れていったとしても、
この感覚は変わることなく、訪れるたびに同じように湧き出てくる、
なんとも不思議な感覚…。

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ノルマンディー地方、西のはずれにあるモン・サン・ミシェルを訪れるときもその思いに包まれる。
外敵を拒むために要塞化したこの島は、世間を拒むように広大な干潟の上に鎮座する。
今でこそ立派なルートが確保されているが、
かつて島へ通じる道は、ヨーロッパでもっとも激しいといわれる干満潮差により、
瞬時にかき消され、訪れる人々を悩ませた。

この島は干潟や城壁では足らず“潮”という名のベールもまとっているのだ。

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ノルマンディー地方独特のどんよりとした空の下、
修道院の尖塔塔頂部に大天使ミカエル(フランス語読みでミシェル、英語読みだとマイケル)が金色に輝き、異形の島にみごとなアクセントをそえている。
曇天と変わりのない色をした砂の大地があたり一面に広がり、
比較対照となる建築物を周囲に持たないモン・サン・ミシェルは、見る者の距離感を奪い、孤高であることを誇るとともに、他者を寄せ付けない印象を抱かせる。

ところが花崗岩に据え置かれたこの奇妙な小島の風景を目の当たりにすると、
島の中心に吸い寄せられる気分に浸るのだ。

毎度の事なので好奇心という言葉では説明がつかず、オカルト的な奇妙な話でもない。
まさか前世が気高き修道士であるはずもないのだが、
なにしろモン・サン・ミシェルを訪れると島の中に行きたくなり、
できることならこの島の中で暮らしてみたい、
この地では毎回この感情が湧いてくるのである。

ことによると渡りそこねて潮に流されたおっちょこちょいが前世なのかもしれないが…。

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ベネディクト派修道院の建築に始まり、ロマネスク様式の修道院を経て、
ゴシック・スタイルの建物を加え、異形の島は完成をみる。

潮に悩まされながら作業を繰り返し、500年あまりの時を経て、
人は住めないはずの場所に町をひとつ作ってしまう。
他の観光地とは異なり、土産物屋やレストランが浮き足立った感じがしないのは、
その影響なのだろうか。

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「名物のオムレツを食べてみたいんだ」
昼の混雑を避け、早めに入ったレストランで卵一個で聖書ほども膨らませるという名物料理について尋ねてみた。

「ホントにうまいものを食べたいならオムレツよりもシーフードがオススメだな」
まだ客の少ないホールにウェイターの声が響く。

「でもチップをはずんでくれれば、本当の名物を教えるけどね」
窓際の席に案内しながら、言葉が弾む。

ランチタイムの喧騒に包まれる前のレストランはウェイターもリラックス・ムード。
イスを引きながら、ウィンクしてみせた。

「ここの風景。こいつにかなう料理はないよ」

指差した窓の外には一面の干潟、その向こうには空と交わった英仏海峡が広がっていた。

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「チップもチャージもいらないよ、コイツはタダさ」

そういうと、ウェイターは口笛吹きながら、キッチンに消えていった。

チップをよけいに払っても悪くないな、
食べ飽きることのないこの名物料理はそう思わせるほどのゴチソウだった。


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Escape vol.120 木靴、チューリップ、オランダの朝食 [MailMagazine]

vol.120 木靴、チューリップ、オランダの朝食

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風車、木靴、そしてチューリップで有名な王国・オランダ。

その華やかで牧歌的なイメージとは異なり、この国の歴史は水との戦いであった。
英語で“Netherlands(低地の国の意)”と記されるように、
国土の4分の1近くが水面より低い標高にあるため、堤防を築き、干拓を繰り返し、
人々は自分たちの土地が失われるのを防ぎつつ、新たな国土を得た。

水分を含んだやわらかい土地に負けないため、
中に水が入らず、痛んできたら履き替えられる便利な木靴を生み出し、
粉を挽く便利な道具でもあり、水を汲み出すための必需品でもあった風車。

名物はすべてこの地に負けないための工夫の産物だ。

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「世界は神さまが創ったものだが、オランダはオランダ人が造ったものだ」と言われ、
水との戦いのしるしは、街の名前に刻まれている。

13世紀にアムステル川の河口をダムでせき止め作った街=アムステル“ダム”、
ライン川の支流であるロッテ川に作られた貿易港=ロッテル“ダム”、
フォーレン“ダム”、マドゥロー“ダム”…
水を相手に苦心したすべてがオランダの名物でもある。

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この国では外食などの贅沢にお金をかけることがあまり好まれない。
その質素倹約ぶりがヨーロッパ他国から嘲笑の対象にされたりもするが、
朝食だけは目を見張るものがある。

“オランダ料理”といって思い浮かぶものは少ないが、
朝食の豪華さだけはなぜか心に焼きついている。

ヨーロッパの南ではコンチネンタル・スタイルと呼ばれるパンにコーヒーだけの軽い朝食がほとんどで、旅先のホテルの朝ご飯を楽しみにしている日本のツーリストからすると、なんとも肩すかしだったりする。
とはいえ、コレが習慣、お国柄。

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モチロン高級ホテルに泊まればアメリカン・スタイルのしっかりした朝食が出迎えてくれるのだが、
通常、ベルギーあたりまではコンチネンタル・スタイルが貫かれている。

ところがオランダ領内へ立ち入れば、朝食の風景は一変、
ミドルクラスのホテルでも豪華な朝食が用意されている。
朝は食べる気がしない、と見向きもしないのは自由だが、
バラエティに富んだブッフェから逃げ出す手はない。

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「オランダに来たら風車とチューリップがアチラコチラにあふれ返っているのかと思ったよ」
ブッフェ全種類の制覇を目指しているとしか思えない皿をつつきながら、
相席になったアメリカ人が語る。

「それはニューヨークやL.A.でカウボーイに会わせろ、というのに近いんじゃないですか?」
ブッフェ全種類を制覇しつつあるわたしが切り返す。

ある一定の時間、ラッシュ・アワーのように混雑するホテルの朝食レストラン、
一人となれば見知らぬ人との相席も旅のワンシーンだ。

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「日本でサムライやニンジャに会えないように?」

「そうですね」
互いに笑みがこぼれた。

「チューリップが見たいならキューケンホフ公園がいいですよ。
温室があるので、季節を選ばずたくさんの種類のチューリップを見ることができますよ」
「チューリップはトルコ原産なんでね、この国の名物、といわれてもピンと来ない感じがしますよ。
それよりもこの国のうまいチーズをたくさん食べてください」
コーヒーを注ぎながら、巨漢の髭のウェイターがちょっとした観光案内。

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「今日はそこに足を向けてみるかな?」
奥さんに同意を求めるように彼が語る。

「サムライが見つかるといいですね」

「キミもカウボーイに捕まらないように」
空になった皿をウェイターが下げていった。

豪華なブッフェに楽しい語らい、
あまり長くこの国にいると、楽しくおいしい朝食のせいで太ってしまうかもしれない。
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Escape vol.116 免許皆伝 in メキシコ [MailMagazine]

Escape vol.116 免許皆伝 in メキシコ

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“ピラミッド”という言葉を聞いてどこの国を連想しますか?

ほとんどの人の頭の中には“エジプト”、そう、カイロ・ギザのピラミッドが思い浮かぶことだろう。
わたし自身も例外ではなく、そのイメージに縛られていた。

そう、この国を訪れるまでは……。

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マヤ文明の遺跡を訪ね歩くメキシコの旅は、ユカタン半島東端のカンクーンの街から始まった。
アメリカからの観光客を大量に飲み込むリゾート・シティ、
白い砂浜に身を委ねる観光客に見送られるように、西へ進路を取った。
海辺を離れると、内陸部は木々がすべてを埋め尽し、道路以外のなにもかもを濃い緑で塗りつぶしている。
時折、その緑を切り裂くように、巨大な石の建造物が頭をのぞかせ、車窓越しに異質な感じを投げかけてくる。

緑のカーペットの奥にメキシコの秘密が覆い隠されている感じがした。

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緑の森を抜けると待っていたのは巨大なカスティージョのピラミッドだった。
チェチェン・イッツァーの遺跡の中心でもあるこの建造物は存在だけでも驚くに値したが、
隠された秘密にさらにア然とさせられる。
四方に築かれた急勾配の石段はそれぞれが91段を数え、
4面のトータルと頭頂部の1段と合わせると365という数字を刻む。

そして春分と秋分にあたる日には、このピラミッドはさらなる不思議な現象をみせる。

この大きな四角錐が正確に太陽光線を二分し、美しくも奇妙な現象を生じさせるのである。
その日、ククルカンの広場は世界中からの観光客が押し寄せ、人々のため息と驚嘆の声が広場を埋め尽くすそうだ。

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ここまで計算され、崇められた建造物の急斜面を這うように上ると、頭頂部から周辺の景色をうかがうことができる。
足元に座する神殿、球戯場、貯水池、天文台などチェチェン・イッツァーの規模の大きさにため息をもらしながら、
彼方に目をやると、濃緑のカーペットが途方もなく広がっていた。

濃緑のところどころに石の建造物が顔を見せ、うかがうコチラを誘っているかのようにも思えた。

次はどこに行こう?
緑のカーペットをめくる楽しみはまだ始まったばかりだ。

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人々のアルバムに残るのは観光名所ばかりだが、
記憶に残るものは街角で聞いた音楽、ローカルフード、人々との触れ合い…
旅先の意外な一瞬のほうが色濃く焼きついていたりする。

“旅”とはそういう一瞬を拾い集めるためのものなのかもしれない。

「ヘタだなあ、なんだよその食いかたは……」
タコスを頬張る背中越しにその笑い声は聞こえた。

かじりかけのタコスとこぼれた中身を指差して、おなかの突き出た中年オヤジが言う。

「欲張って中身を詰めすぎだよ」

そう言うと笑いながら、店先から焼きあがったばかりのトルティーヤを持ってきた。
(トルティーヤ=コーンや小麦を薄くのばして焼いたもの。油で揚げてパリパリにしたものもあるが、メキシコではソフトが主流)

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「いいか、タコスは片手で食うのがツウさ。両手で頬張っているようじゃ、カッコ悪くてしかたない」
両手で格闘していた日本人を見てシビレがキレたのだろう。

「いいか、みてろよ。コイツを手のヒラに乗せる。その上に、チリコーン(豆)、チーズ、肉、野菜、なにを入れてもいい」

「とはいえ入れすぎるなよ」
左手に乗ったトルティーヤはまるでお皿だ。

「で、サルサかワカモーレ(アボガド)、サワークリーム、好きなものをつける。仕上げにリモーン(ライムのこと)をひと搾り」

「包んでオシマイ。みろ、片手でできるだろう?」
手際よいオヤジの作業工程を見守っていると、トルティーヤを突き出された。

「やってみな。ハポン」
見様見真似でタコスを包み、片手で頬張ると、オヤジが笑った。

「うまいもんだな、ハポネス。これであんたも立派なメキシコ人だ」
市場の片隅の屋台で免許皆伝。

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「メキシコの食べ物はうまいかい? 日本の料理とどっちがうまい?」

タコスの向こうでオヤジが楽しそうに笑った。 

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Escape vol.109 球春─アリゾナ [MailMagazine]

Escape vol.109 球春─アリゾナ
http://escape.mailvision.jp/bn/20040219/index.html

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なんと心地よい響きだろう。

寒さに身を凍らせていた人々に春の訪れを告げ、
オフシーズンをガマンしていた野球ファンの心を躍らせる言葉。
残念ながら英語にはこれを直接表現できる言葉はなく、
日本語の深さをあらためて感じる言葉でもある。

しかしアメリカにも巷の野球好きを冬の眠りから覚ます別の言葉がある。
「スプリング・キャンプ」

この言葉が新聞の見出しを飾ると、全米のベースボール・クレイジーはいてもたってもいられなくなる。

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“グレープフルーツ・リーグ”と呼ばれるフロリダ州には、ヤンキース、カージナルズ、メッツ、
ドジャーズ、エクスポズ、ブルージェイズ、フィリーズ、デビルレイズ、パイレーツ、レッズ、
レッドソックス、ツインズ、オリオールズ、マーリンズ、アストロズ、ブレイブス、タイガース、
インディアンズなど東海岸のチームを中心とした18チームが集まる。

一方、“カクタス・リーグ”とあだ名されるアリゾナ州にはマリナーズ、パドレス、ホワイトソックス、
エンゼルス、ダイヤモンドバックス、ロッキーズ、ロイヤルズ、レンジャーズ、ブリュワーズ(当時)、
アスレチックス、カブス、ジャイアンツの西海岸を中心とした12チームがキャンプを張る。

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元サッカー日本代表・中田英寿が利用しているメンズファッションサイト

そんなベースボール・パラダイス目指し、
愛車に荷物を放り込み、
愛するチームのキャンプ地へ、
長距離運転なにするものぞ、
帽子とTシャツは忘れずに…。

こうしてベースボール・クレイジーの民族大移動が始まるのである。

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そんなファンに紛れ込むかのように、アリゾナを訪れたわたしを出迎えてくれたのは、
3月上旬というのに肌を焼く勢いの日差しと、乾燥した空気に響く甲高い打球音だった。
レンタカーの運転席から見えたスタジアムはキャンプ地とは思えないほど美しく、
色鮮やかなユニフォームや緑鮮やかな芝生を目にする前から心は高鳴った。

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子供たちは練習中の選手に声をかけ、サインをねだる。
選手は練習の合間にサインをするため、スタンドに近づく。

スタンドとフィールドを隔てるフェンスがないゆえのコミュニケーション。

有名選手ならば、フェンス際にちょっとした“ラッシュ ・ アワー”が巻き起こり、
ガードマンが駆け寄ってはくるが、パニックにならないところがコチラ流。

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帽子にグローブ、バットにボール、紙切れ一枚出すよりも、
お目当て選手のグッズを差し出せば、サインのゲット率はグッとあがる。
子供たちもその辺は慣れたものだ。

「アンタ、ペン持ってないかい?」
若手選手に声をかけられた。

「ボールペンしか持ってないなあ」

「それじゃあ、だめだ。誰か、フェルトのペンはないかい?」
どこからともなく声がかかり、ペンが投げられる。

当たり前のように受け取り、彼はサインを続けた。

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選手たちは子供の頭をなでたり、普通の話をしたり、
まるで近所の子供か親戚でも相手にしているようだ。
彼らもシーズン中には、これほどリラックスした表情は見せない。

開幕戦はまだ遠い。

きついスプリング・キャンプを乗り切るには彼らなりの過ごし方があり、
キャンプならではのファンへの接し方があるのだろう。

そこにいるのは画面の向こうで活躍するメジャーリーガーではなく、
子供たちが敬愛する「野球の上手なオニイチャン」、そんな感じがした。


協力:アリゾナ州政府観光局
http://www.visit-uswest.org


写真1; ツーソンにあるダイヤモンドバックスの練習スタジアム。
      ユマ、グレンデールなどフェニックス周辺の町にスタジアムがあり、
      通常2チームがホームスタジアムとして利用している。
      車で移動できる距離なので、連日、オープン戦が休みなく組まれる。
写真2; 試合前はサインをねだる絶好のタイミング。子供が声をかけると選手は断らない。
写真3; 試合前でもリラックスした表情で、トレーナーにストレッチを受けている。
写真4; 「ビッグ・ユニット」ランディ・ジョンソンレベルになると、ごらんのとおりの人気ぶり。
写真5; ご存知、イチロー。フェンスがないので、フィールドの選手も身近に感じる。
写真6; 選手だけでなく、チーム・マスコットも人気モノ。
写真7; フェンスがなく、フィールドは目の前。外野席は芝生席なので、日光浴したり、
      家族でピクニックしたり、楽しみ方はなんでもありです。
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Escape vol.94 MLBキャンプ─アリゾナ [MailMagazine]

Escape vol.94 MLBキャンプ──アリゾナ
http://escape.mailvision.jp/bn/20031030/index.html

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グランド・キャニオン・ステイツとあだ名されるアリゾナ州の名物は、
グランド・キャニオンに代表される壮大な景観ばかりではない。

北部が冬の寒さから抜けきっていない3月、
ここでは早くも球音が響き渡り、その音は春どころか夏の香りを運んでくる。

州都・フェニックス近郊のピオリア、スコッツデール、ユマ、メサ、テンピといった町々には、
アメリカ全土からMLB10 チームが滞在し、
“カクタス・リーグ(アリゾナ名物サボテンの意)”と名づけられたこのエリアで1カ月前後のトレーニング・キャンプを張るのである。

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選手たちがゲッソリする過酷なキャンプも、野球ファンには垂涎のゴチソウ。
練習フィールドに張り付き、フェンスごしに選手にサインをねだる子供たち、
ビール片手に“おらがチーム”を応援する老夫婦、
日光浴気分で水着姿で芝生席に寝そべるカップル…。

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フロリダ=“グレープフルーツ・リーグ”(ヤンキース松井=タンパ、ドジャース野茂・石井(当時)=ベロビーチなど)は、
チーム数こそ20とアリゾナを上回るが、なにぶんチーム間の移動距離が長く、旅行者にはツライ。

“カクタス・リーグ”はレンタカーさえあれば1日3、4チーム見ることさえ可能。
レンタカーが不得手な人なら球場間を走るシャトルバスを上手に使えば、
旅行者でも気軽に球場に足を運び、選手たちを身近に感じることができる。
メジャーに残る選手をふるいにかけるべく、オープン戦は連日連夜、各地の球場で行われ、
デイゲーム&ナイトゲームのハシゴ、なんてゼイタクもできる。

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「あんたもビールどうだい?」
不意に声をかけられた。

「リタイアしたらアリゾナに住み着くことだな。フロリダなんか治安が悪くて住んでられないよ。
ここなら全米で一番早くベースボールを観ることもできるし、公式戦もフェニックスで観ることができるからな」

ビール片手にすっかり上機嫌のオヤジさんはドでかいクーラーボックスを開けて、ビールを勧めてくれた。

「ここのスタッフは全部ボランティアだよ。地元老人会みたいなものでね。
毎年この時季になると、球場に借り出されるのよ。もちろん呼ばれなくても来るのだけどね」
派手な色で統一されたポロシャツを着たスタジアムの案内人のオバアサンはウインクしながら答えてくれた。

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立ち話を続けていると、大きな声で呼びかけられた。
「日本から来たのか? 日本ではベースボールは有名なのか? 日本で有名な“スモーレスリング”とどちらが人気があるのだ?」
試合開始前の退屈な時間、日本人を暇つぶしのネタにしようという輩から声がかかった。

その声の方向を見ると、スタンドの客の視線もこちらを向いている。
どうやら一瞬にして日本代表にされてしまったようだ。

意を決して答える。

「もちろん人気ナンバーワンは“スモーレスリング”です。
あのイチローも子供のころから“スモーレスリング”に憧れていたけど、あのスリムな体格のせいであきらめたのです」
スタンドがうなづく。

東洋の神秘をさらに謎に包み、煙に巻いたところで、立ち去ることにした。

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「ベースボールにビールがあれば、他になにもいらないよ」
芝生席で寝転ぶ観客が楽しそうに語る。

「おっと、ホットドッグは忘れちゃ困るぜ」
納得の一言。

スタジアムの駐車場には、
マリナーズの地元・ワシントン州、
エンジェルスのカリフォルニア州、
熱狂的なファンが多いホワイトソックス、カブスのイリノイ州など、
はるか遠くの州のナンバープレイトがあたりまえのように並んでいた。

ベースボール・ファンにはうんざりするようなロングドライブも苦じゃないのである。

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協力:アリゾナ州政府観光局
http://www.visit-uswest.org

写真1; サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズ。
写真2; 野球を観るにはビールニホットドッグ、ポップコーンが必需品!
写真3; ビールのキャンペーン・ガール?いえいえ、彼女たちもローカル・ボランティア。
写真4; オープン戦でもチーム専属のスタジアム・アナウンスがつく。
写真5; アリゾナ州の旗。「サンシャイン・ステイツ」のアダナのとおりの旗だ。
写真6; 名物サボテン。とはいえ、フェニックスの町の周辺ではあまり見かけない。
写真7; ネクストバッターズ・サークルのボンズ。
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Escape vol.89 トルコでもらった宿題 [MailMagazine]

Escape vol.89 トルコでもらった宿題
http://escape.mailvision.jp/bn/20030925/index.html

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「イスラム教についてどう思われますか?」

長距離列車のコンパートメントのなかに、唐突な質問が飛び込んできた。

「あなたは英語がわかりますか? わたしの質問がわかりますか?」

ピシッとしたスーツ姿の紳士はまじめな面持ちで尋ねながら、前の座席に腰掛けた。

4人ずつが向かい合って座れる列車のコンパートメントは、
指定席であろうがなんだろうが入れ替わり立ち代わり人が出入りする。
「退屈な長旅、せめて話し相手でも」と、見知らぬもの同士が共通の話題を探し、
アチラコチラの席を行き来するのだ。

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言葉もわからないわたしは目を落としていた文庫本から、紳士に目を向けた。

紳士の口元から流れ出た言葉に一瞬、たじろがされた。
シリアスな質問にも驚いたが、流暢な英語の発音が驚きだったのだ。
英語が母国語でない人々の場合、朴訥な感じの発音が聞き取りやすく、
ぶつ切りの音が、英語が母国語でない我が身を安心させてくれる。

イスラム圏でもそれは例外でなく、
お互いに無骨な英語をやり取りすることで旅の幅が広がった気になり、大いに救ってくれていた。
紳士の口元から発せられた英語はきわめて英語的な発音だった。

「イスラム教についてどう思われますか?」
同じ質問が発せられる。

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「難しい質問ですね。正直、日本人はイスラム教に関してあまり詳しくないのです」
ガイドブック程度の知識しかないことを正直に答えた。

「日本の方なのですね。では仏教に関して聞かせてください」
こちらがさらに困るような質問が重なってきた。

「日本はほとんどが仏教徒だそうですが、仏教のよいところを教えてください」
ストレートな質問が続く。

苦笑いしていたわたしは、イスラム教への日本人が持つイメージや情報、
日本人の日常における宗教へのかかわりが皆無に近く、
若い世代のほとんどが宗教に携わっていないことなどを話した。

客観的に話ししたつもりであったが、紳士はまったく信用してくれなかった。

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「日本の日常生活に宗教はないのですか?」

「家族や友達と宗教の論議をしないのですか?」

「礼拝に行かないのですか?」

「宗教上のルールはないのですか?」

「寺院には毎週行かないのですか?」

日本では日頃、宗教論議などしませんよ、といっても信じてもらえない。

逆に察すれば、それほど彼らの生活のなかで宗教は大事なことなのであろう。
日本人の宗教へのかかわり方をいくら説明しても理解を示してもらえない。
気づくとコンパートメントの入り口には人だかりができ、
日本人旅行者対イスラム紳士の宗教論議を興味深そうに眺めている。

「日本にもイスラム教徒はいるのですか?」
いぶかしげな紳士の質問の矛先が変わった。

「いますよ、東京や他の町にもモスクがありますよ。この国のモスクとはサイズが違いますけどね」

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「おお」
ギャラリーが喜ぶ。

「日本人の何パーセントぐらいがイスラム教ですか?」

「さあ、それは微々たるものでしょうねえ」

「うーん」
ギャラリーが残念がる。

「しかたありませんね、日本は遠いですから」

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元サッカー日本代表・中田英寿が利用しているメンズファッションサイト

「あなたがいつかアラビア語を理解するときが来たら、この本を読んでみてください」
豆単サイズの小さな本を手渡された。

「簡単なコーランです。いつも手元に置いてください、この本があなたを守ってくれます」
「わたしはイスラム教の宣教師なのです」
紳士の唐突な質問の謎がこのひとことで解けた。

そういうと紳士は停車駅で降りて行った。

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人がいなくなったコンパートメントで、読めないアラビア文字のページをめくっていると、
奇妙な宿題をもらった気がして、なんだか微笑がこぼれてきた。


写真1; イスタンブールにあるアヤ・ソフィアは、王妃のために建てられた。
写真2; ブルー・モスクの内部。
写真3; 偶像崇拝が禁ぜられているので、モスクはモザイクで飾り立てられている。
写真4; 『地下宮殿』と銘打たれている貯水池。イスタンブールは水不足に悩んだ都市であった。
写真5; トルコは果物や野菜が豊富。旅していても食に飽きることがない。
写真6; 漬物屋さんの店先。オリーブやチリ、色鮮やかな野菜が彩る。
写真7; アジアとヨーロッパを隔てるボスホラス海峡。奥に見えるのは大統領宮。

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Escape vol.86 イズミールの夜は更けて─トルコ [MailMagazine]

Escape vol.86 イズミールの夜は更けて─トルコ
http://escape.mailvision.jp/bn/20030904/index.html

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この国を訪れるまで、
トルコの人々があたりまえのように楽しんでいる飲み物は“トルココーヒー”だと思っていた。

しかし実際に街でも村でも遺跡でも目にしたのは“チャイ”という名の紅茶だった。
小ぶりなガラスのコップに熱い紅茶を注ぎ、角砂糖を1、2個落として飲む。

食後になれば、人が集まれば、客がくれば、ひと息つくならば、といった感じで,
この国ではなにしろ“チャイ”なのだ。

暑い夏といえど、彼らの飲み物が変わることはない。
立派な口ひげを蓄えた男どもが小さなグラスから熱いチャイをすする姿は、
眉間にシワを寄せながら熱いお茶をすする日本男児に通じる感じがして、
おかしくもあり、懐かしい感じがした。

チャイはお年寄りから若い人まで、砂糖を入れることを除けば、
日本の緑茶のように愛されている飲み物だ。
しかし食後はお茶でさっぱり日本式、という感じで砂糖を入れずに飲むと、
現地の人からは奇異の目で見られ……。

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エーゲ海に面したトルコ第3の都市・イズミール。

リゾートとしても名高いこの街は、
広大な遺跡を有するエフェス(現地ではエフェソスという)からも近く、
また近隣に多くの遺跡が点在することから旅行者が多い街でもある。

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昼間の遺跡巡りを終え、翌朝にはこの街を離れようかと考えていた。

寝るにはまだ早く、一人旅にとって一番退屈な時間になった。
たいがいは他の宿泊者と話しをしたり、旅の情報交換をして、
退屈な夜の時間を貴重な楽しみの時間に変えていたのだが、
この宿は地元客がほとんどで、残念ながらトルコ語もできない身にとっては
部屋でおとなしくするしかない状況だった。

そんな時、ふと、昼間の風景を思い出した。
ホテルの目の前にあった公園で移動遊園地の設置工事をしていたのだ。

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「そこへ行ってみよう」

なにがあるのかはサッパリわからなかったが、
部屋で退屈と顔を突き合わせているよりはましな気がした。

移動遊園地は予想以上に規模が大きく本格的で、乗り物は10種類以上あり、どこも列をなしていた。

なかでも人気の乗り物はメリーゴーラウンドらしく、小さな子供たちが列を作っている。
綿菓子やアイスを売っている店の前では、家族連れが列をなしている。
どこの国でも遊園地の風景は微笑ましい。
散歩だけのつもりだったが、観覧車で街に別れを告げるのも一興、と思い、
チケット売り場の列に並んだ。

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「大人1枚」

書かれてた金額を切符売り場の小さな窓口に差し出した。
その瞬間、手首をつかまれた。

「XXXXXX」

早口でなにを言っているのかわからない。
小さな窓口に入れた手はガッチリつかまれ動かない。
わけがわからなかった。

「おまえは中国人か? 韓国人か?」

腕を引き戻そうとしながら、ようやくその男の言っていることが聞き取れた。

「は? 日本人だよ」

「そうか」
腕が急に自由になった。

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「なんなんだよ?!?!」

「日本人ならいい! 日本人は仲間だ、同胞だ」

「は?」

「日本はロシアからトルコを救ったんだ」
いまだ、わけがわからなかった。

「悪かったな、こんなところに日本人はこないから、日本人とは思わなかったんだ」

「日本は小さい国なのに、大きなロシアに戦いを挑んだ。
おかげでロシアに攻められていたトルコは窮地を脱することができたんだ」
窓口のオヤジさんはどうやら日露戦争とトルコの関係を語っているようだった。

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「日本のおかげでおれのじいさんは生き延びたんだよ。だからおれもいるってワケだ」
「驚かせて悪かったな、あっちでチャイでも飲もう、同胞よ!」
売場から出てきたオヤジさんは大きな声で笑った。

イズミールの夜は更けていく。




写真1; 地中海に沈む夕陽。
写真2; ベルガモンの遺跡。遺跡の奥まで歩みを進めるとひと気がない。
写真3; アスクレピオン(病院跡)にあるトンネル。
      患者を歩かせ、天窓から声をかけ、暗示にかけたという説がある。
写真4; エフェス(英語ではエフェソス)の遺跡。ローマ時代の彫刻が今も残る。
写真5; ローマは武をもって征したが、「教会で教育」を「劇場で喜び」を与えたという。
写真6; モザイク。かつては床一面を覆いつくしていた。
写真7; トロイの遺跡で草刈りをしていたおじさん。

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Escape vol.83 マチュピチュのメイドインジャパン [MailMagazine]

Escape vol.83 マチュピチュのメイドインジャパン
http://escape.mailvision.jp/bn/20030814/index.html

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“インカの忘れ形見”である空中都市・マチュピチュを目指す道のりは、
スイッチバックを繰り返しながら、切り立ったアンデスの山をゆらりゆらりと進む登山列車で行く方法と、インカ道(みち)をトレッキング&キャンプしながら、2~3日かけて進む方法がある。

昔ながらのインカ道を歩く、という濃密な時間の過ごし方に魅力を感じたが、
限られた時間しか与えられていないのが旅行者のツライところ。
後ろ髪ひかれつつ、登山列車の座席に身を沈めた。

線路沿いを流れるウルバンバ川は、日本の清流に似た水の美しさを見せ、
清らかな空気を運んでくれる。

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標高3,300mのクスコの町に比べると、このあたりでは酸素も濃厚で、
高山病に怯えていた身体が緊張感から解き放たれ、五感が前にも増してさえるような気がする。
車窓にはアンデスの山々がそびえ、時折、小さな集落が目に映るだけ。
日常生活を覆う看板、車、騒音はここにはない。

車内に流れるフォルクローレがただ心地いい。

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“老いた山”を意味するマチュピチュは標高2,400mの切り立った山の中腹に位置する。
到着したプエンテ・ルイナス駅から上を望んでも空中都市の姿は見えない。
山に守られ、覆い隠されたこの町は足を踏み入れなくては見えない町なのだ。

ここにたどり着いた誰もが「なぜこのような場所に?」と思うほど急峻な山あいに、
あたりまえのように段々畑、神殿、広場、民家などが築かれている。
整然とした風景が、生活用水は? 食料は? 住民数は? など
疑問を抱く訪問者を笑っているようにも思えた。

時代に取り残されて滅びていった空中都市は、心身を浄化するような不思議なパワーを感じさせる。
死んでいるはずの町が静寂の中から力を感じさせてくれ、
生きているはずの都会はノイズとともに人から力を奪っている。

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土産屋のおばちゃんはかたくなだった。

「絶対に12ソーレスだよ(ペルーの通貨はソル、複数だとソーレスと呼ぶ)」

旅先であまり土産を買うことはないのだが、手編みのザックを見つけ、
壊れかけたリュックの代わりに使おうと思い、それを手にとっていた。
「30ソーレス」という言い値を聞いて、10で買おうと決めていた。

ゆっくりと時間をかけた交渉で、値段は20、15と下がり、最後の歩みよりになった。

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「14」

「いや10」

「13!」

「だから10だって」

「無理だね、12だよ」

「払ったとしても11だ」

「それは無理だよ」
売る側なのに、おばちゃんは強気だ。

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こうなるとこちらも意地になる。
列車の出発時間が近づくと、こちらの気持ちを見透かしたように畳み掛けてくる。

「ほうら、時間だよ。もっておいき。ただし12だよ!」

日本人と変わらない顔つきをしたインディオのおばちゃんが畳みかけてくるたび、
親戚のおばちゃんに言いくるめられているような気分で、ますます負けたくなくなる。
欲しそうな表情を隠しながら、11という数字を堅持していると、
顔色を見たのか、おばちゃんから奇妙な提案が…。

「あんたの持っているそれをくれるなら11にしてあげるよ」
指差した先は、胸のポケットに刺さったボールペン。

新妥協案の提出だ。

「これでいいの?」

「そうだね」

「これと11?」

「そうだよ」
意外な形で契約はまとまり、実はとても欲しかったザックがアッサリ手元に来た。

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おばちゃんはうれしそうに日本製のボールペンで試し書きをしている。
単価にすればボールペンのほうが損なのかもしれない、
それでも日本製のボールペンを欲しがった彼女の気持ちがうれしかった。

この時から旅先でのプレゼントは、最後まで使いきれる優秀な日本製のボールペンになった。

ワイナピチュ(=若き山の意)が見下ろしていた。


写真1; マチュピチュの一番高いところから望んだワイナピチュ
写真2; 世界的に有名な遺跡には観光客も多い。一説には人の多さが遺跡を傷めているとも。
写真3; 遺跡内にあるインティファタナ(日時計)。見学中に小雨に降られた。
写真4; 突出した部分に藁などを縛り付け、屋根を固定したといわれている。
写真5; 隙間がない石組みといわれるが、生命力はたくましい。
写真6; 試しに座ってみたけど、井代が気になって、落ち着いて座っていられないです。
写真7; 地元の人たちは鮮やかな織物に、日よけの帽子が必需。

オリジナル画像はコチラ↓の「Stocks」欄にUPしてあります。
写真販売サイト http://pixta.jp/@delfin   覗いてみてください!

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Escape vol.80 あんたらとわたしらは祖先が一緒らしいね─クスコ [MailMagazine]

Escape vol.80 あんたらとわたしらは祖先が一緒らしいね─クスコ
http://escape.mailvision.jp/bn/20030724/index.html

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インカ遺跡への玄関口である小さな町、クスコ。

この町の名を知らなくても、空中都市マチュピチュの名を知らない人は少ないだろう。
そのマチュピチュへのゲートシティ、それがクスコの町だ。
ペルーの首都である海沿いの街、リマから国内線で約1時間のこの町に降り立つと、すべての旅人を待ち受ける手厚い出迎えがある。

“高山病”である。

3,300mの高さを誇るこの町は、当然ながら酸素が薄い。
飛行機から下りた瞬間に倒れる人がいるぐらいだ。
富士の山頂とまではいかないが、それに近い標高のこの地では「してはいけないことがある」と、リマで脅かされてきた。
それは“大声を出すこと”“走ること”そして“風呂に浸かる”ことだ。
普段はなんでもない行為が、ここでは危険な行為となるのだ。
広場の真ん中で大声で友達を呼び、そのまま後ろに倒れた観光客がいる、という笑い話のような実話がある。

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“高山病”の症状は頭痛、吐き気、眠気、だるさなど人によってさまざま。
コカの葉を煎じたコカ茶を飲んだり、ホテル備えつけの酸素ボンベを吸引しても、その場しのぎでしかない。
こいつの特効薬はただひとつ「下山すること」。
しかし全然平気な者、慣れるのに数日かかる者、前回平気でも今回ダメな者…。
自分は過敏な動きをセーブしていたら、慣れてきたようだ

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インカの遺跡はこの町にもあまるほどある。
巨岩が連なる砦サクサイワマン、
生贄を捧げた神殿ケンコー、
不思議にも水が湧き出る王の保養所タンボマチャイ、
そして町の中心にあるアルマス広場から程近い場所には、精密に切り込まれた12角の石、遺跡ひしめく町なのだ。

しかしそれら全部をあわせたよりも空中都市マチュピチュは魅力的。
クスコの遺跡を見ながらも、心はマチュピチュに吸い寄せられていたのだ。

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インカ道をトレッキングし、マチュピチュを目指す、というのも一興だったが
“高山病”と“疲労”のタッグに完勝できるかどうか定かでないため、
夜明け前の登山電車に乗りこみ、空中都市を目指すことにした。

しかし駅で待っていてくれたのは「車両故障で電車は動かない」という悲しい知らせを告げる駅員だけだった。

あまりにペルーらしい出来事に呆然としていると駅員が「向こうへ行け」という。
これにはカチンときて高山病を無視して、大声で怒鳴り散らす決意を固めたら、誰もが荷物を持って、駅員に付き従うように動き始めた。
怒りの対象も動き出してしまったので、しかたなく後を追う。
すると、そこにはバスが止まっていた。
怒りの対象であった駅員にチケットを見せ、押し迫ると、笑顔でバスを指差した。

「電車が動かないから、途中駅までバスで移送する」ことになったのである。
ペルアーノと高山病を敵に回し、一戦交えなくて正解だった。

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安いチケットはココ!

しばらく走ったバスはウルバンバ川沿いの町、オリャンタイタンボで停車、しばしの小休止となった。
客たちはこの町の巨石遺跡に足を向けたが、自分は町外れで開かれていた市場に気を引かれた。
アンデス原産のさまざまなトウモロコシやじゃがいもが並ぶ。
チチャという名のドブロクを味わうお年寄り、その間を走り回る子供…
小さいながらも活気あふれる市場だった。
カメラ片手にウロウロしていると、インディオのおばさんたちに興味深そうに覗き込まれる。

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「日本人かい? こんなところに珍しいね」

「あんたらとわたしらは祖先が一緒らしいね」

「カメラはキライだね、黙って写真を撮るんじゃないよ」

「お茶でも飲むかい?」

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親戚のおばさんたちに叱られているような気分だったが、嫌な感じはしなかった。
ひょっとしてここでは時間が止まっているんじゃないか、そんな風に思えた。


写真1; サクサイワマンの遺跡。ケチュア語で「満腹のハヤブサ」を意味する。
写真2; クスコの町にある「12角の石」。カミソリも通らない精巧さ、といわれている。
写真3; 標高が高いため、晴天だと太陽に輪がかかって見える。
写真4; 標高が高いと日焼けしやすい。
      太陽に近いから、ではなく、紫外線を遮る大気が薄いため。
写真5; トウモロコシやジャガイモ、トマトなどアンデス原産の野菜は多い。
写真6; パン屋さん。屋台で見たものはかたっぱしから食べたくなる・・・
写真7; チキンのスープ。山あいで小雨に降られ、震える寒さだったせいもあり、
      このスープは絶品。あまりのうまさにオカワリしたら、笑われた。

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Escape vol.77 一杯のカフェ・オ・レと─モロッコ [MailMagazine]

Escape vol.77 一杯のカフェ・オ・レと──モロッコ
http://escape.mailvision.jp/bn/20030703/index.html

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旅先での“憩い”にはその国らしさが現れる。

たっぷりと練乳が注がれた東南アジアのコーヒー、
小さなグラスに角砂糖を落として楽しむトルコのチャイ、
ストレートで飲んだら奇妙な目で見られたイタリアのエスプレッソ…。

モロッコにはふたつの“憩い”があった。

フランス統治時代の名残りを残すカフェ・オ・レと、
新鮮なミントの葉をどっさりと入れたミント・ティ。
どちらも旅の渇いたのどを癒してくれるには素晴らしい役者だった。
そして一杯のお茶が旅の行方を左右することもある。

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その時、わたしは途方にくれていた。

喧騒のマラケシュを発ち、ワルザザードからさらに東の町を目指している途中、
ティネリールの町で「砂漠へ行くバスはない」というイヤな情報を耳にしていた。
行けばなんとかなるだろう、という楽観的な見通しは、ホテルのマネージャーにあっさり否定された。

「ここから東へ向かうバスはないよ」

この町からサハラへの入り口でもある東の町・エルラシディアへは定期バスはないのである。
ワルザザードへ戻り、北に寝そべるオート・アトラス山脈を迂回し、回り込めばたどり着けないことはないようだが…。
呆然としながら夕食を取るためにホテルを出ると、声をかけられた。

 「おーい、ジャポン! アリだよ、アリ」

モロッコはガイド料をねだるインチキガイド、しつこい土産屋も多い。
“アリ”なんて石を投げれば当たるほどいる名前、
そして英語を話すやつに限って、小銭をたかる輩が多いのだ。

無視して立ち去ろうとすると
「ワルザザードの××ホテルを覚えてないのかい?」
ホテルの名前に驚いて振り向くと、数日前、同じホテルで話をした男だった。

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世界中どこでも無料通話!Skype.com

「ここで土産屋をやっているんだ、お茶でも飲んでいけよ」
そう言うと店舗の二階に招き入れてくれた。

「無視されそうになってあせったよ」
「ごめん、押し売りかガイドかと思ったんだよ」
「おれもここで再会するとは思わなかった、カフェ・オ・レか? ミント・ティがいいか?」
民族楽器や土産、雑貨が並べられた店内のカーペットに招かれ、座った。
横には見慣れない男が座っていた。

「こいつはイトコのカリム、レストランをやっているんだ」
アリは英語がわからない彼に、わたしとの出会いを説明していた。

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「で、ジャポン、ここから先はどこへ行くんだ?」
「いやあ、サハラに行きたくて、エルラシディアを目指していたけど……」
「エルラシディアに行きたいのか?」
「そう、そこから南に下り、サハラに入りたい。でもバスがないんだ」
「じゃあ、こいつと行けばいい」
イトコの肩を叩きながらアリが陽気に話す。

「カリムはエルラシディアにレストランを持っているんだ。
これから帰るところさ。こいつと一緒に行けば問題ないだろう? 明日でいいのか?」
「こいつと行けば相乗りのタクシーもボラれることもないし、
サハラまでの車も手配するように伝えてやるよ」
目の前にあるカフェ・オ・レが冷める間もなく、砂漠への道が開けた。

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元サッカー日本代表・中田英寿が利用しているメンズファッションサイト

翌朝、カリムと待ち合わせ、タクシーに乗り込む。

助手席2名、後部座席4名、エルラシディアまで約2時間、思い切りギュウギュウ詰めの相乗り。
舗装されていない路面に尻が悲鳴を上げていたが、乗り合った客は慣れているのか誰も文句を言わない。

爆走を終え、エルラシディアの町に着くと、カリムはいともたやすく4WDのタクシーを手配してくれた。
しかも驚くような値段で。

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別れ際にカリムがつたない英語で言う。
「砂漠の帰りにはうちに泊まっていくといい、モロッコの食事でよければご馳走するよ」

美しいサハラの砂を眺めながら、カフェ・オ・レのグラスを傾けると、
アリの笑顔とカリムの優しい言葉が頭の中にぼんやり浮かんだ。

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写真1; 砂漠の中にポツンとあるホテルからの風景
写真2; 街なかの屋台。フレッシュ・オレンジジュースは一人旅の貴重な栄養源。
写真3; ホテルのキー。あたりに人もいないので、カギも質素。
写真4; わずかな風でも砂が舞う。『サハラ』は現地の言葉で「砂漠」を意味する。
      なので、「サハラ砂漠」というと「チゲ鍋」と同意義です。
写真5; 砂漠の住人。水がなくても暑くても住む方はいるようで…
写真6; ホテルで借りた自転車。まっすぐ行くとアルジェリアに突き抜けるはず。
      でもこの自転車、ペダル片っぽないんだ…
写真7; サハラの日没。真中の白い点はゴミでなく、金星。
      砂の山の上で、日没を待っていたが、日が沈むと寒くて凍えそうになった。

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Escape vol.70 ジンジャー、シナモン、クミン、ナツメグ─マラケシュ [MailMagazine]

以前、連載していたメールマガジンを再掲します。
連載時は写真が3枚ほどでしたが、
フィルムをデジタル化したので、少し多めに画像入れてみますね。

サイバーエージェント社・旅のメールマガジン『Escape』+α画像です。


Escape vol.70 ジンジャー、シナモン、クミン、ナツメグ ── マラケシュ
http://escape.mailvision.jp/bn/20030609/index.html

ヨーロッパからアフリカ大陸への玄関口となる国・モロッコ。
スペインの最南端・アルへシラスの港からわずか14km、
ジブラルタル海峡の向こうにその姿を眺めることができるヨーロッパからもっとも近いムスリムの国である。

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この王国は1956年にフランスから独立すると、
パリやロンドンから2~3時間で飛べる距離ということもあり、ヨーロッパでもっとも人気がある観光国となった。
日本に置き換えたなら韓国や香港といった位置付け。
週末旅行やバカンスに訪れるヨーロピアンはひっきりなしで、
クリスマスシーズンともなればホテルはヨーロピアンであふれかえる。

「砂漠が見たい」
スペインを旅していた私は、他愛のない動機でジブラルタルを渡るフェリーに乗り込んだ。
目指すはモロッコ東南、アルジェリアとの境に広がるサハラ砂漠。
金色の砂をこの足で踏みしめてみたかった。

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中田英寿が利用しているメンズファッションサイト

古都・フェズに次いで二番目に古いながらも、今ももっとも活気あふれる街・マラケシュにたどり着く。

街の中心であるジャマ・エル・フナ広場には、日が暮れるにつれ、さまざまな食べ物やフルーツを並べた屋台、露店、
奇妙なパフォーマンスや民族音楽を演ずる大道芸人が集う。
日が高い時間はなにもなかった広場がまるでお祭りのようなにぎやかさをまとい、
観光客ばかりでなく、仕事帰りの地元の人たちの足も止めさせていた。

イスラム圏にいながらもびっしりと並んだ屋台や夜店の雰囲気は、まるでアジアの喧騒や空気を感じさせてくれる。
人が集う奇妙なお茶の屋台が目に止まった。
インパクトのある香りがあたりを包む。

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「ここはなにを飲ませるんだい?」

「たくさんのスパイスが入った紅茶だよ」
珍しく流暢な英語で返答が帰ってきたことに驚いた。
この国の人々は、モロッコ特有の訛りの強いアラビア語か、フランス語を話す人がほとんどだからだ。

「モロッコの人にしては珍しく英語が上手だね」

「そういうあんたも日本人なのに英語ができるんだね」
お互い顔を見あうと、ゲラゲラと笑いあった。

「飲んでいくかい?」

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お茶にも興味があったが、テキパキとした彼の客さばきにも気を惹かれ、しばらく腰を落ち着けることにした。
イスラム圏では酒を飲まない。
もちろん厳粛でない信者はおかまいなしだが、それでも公共の場では決して口にはしない。
そんな人々が気分転換にこの店でお茶を飲んでいく。
買い物帰りの母娘、仕事帰りのビジネスマン、誰もがリラックスした表情でお茶のタンクの前に置かれた甘いお菓子をほおばりながら、熱く甘いスパイス・ティに夕刻のひと時をゆだねる。
どうやらこの店は数あるお茶の屋台の中でも味がいいらしい。

彼は手際よく小ぶりのグラスを給仕し、途切れることなく訪れる地元客を小気味よくさばいている。

「このお茶には10種類のスパイスが入っているんだ。わかるかい?」

「ジンジャー、シナモン、クミン、ナツメグ……」

「重要なものを忘れているよ」

「重要なもの?」

「紅茶さ」
英語がわからない客を尻目にふたりで笑いあった。

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英語を勉強して、この仕事でお金を貯め、ヨーロッパに留学するのが彼の目標。
観光客相手に英語が使えるし、戸惑うこともないので売り上げもでるから一石二鳥の仕事だねと、明るく笑う。

「明日も来るかい?」

「明日は南の砂漠へ向かおうかと考えてるんだ」

「ワルザザードの町へ? あそこの砂漠は石ころだらけだよ。
砂が見たければもっと東のエルラシディアの町から入らないと無理だね」

「そいつはまいった。計画を練り直さないといけないな」

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そういってお茶代の1DH(ディラハム≒15円)コインをテーブルに置き、席を立つと、
彼はわたしの胸ポケットにコインを放り込んだ。

「明日もらうよ」

湯気の向こうに笑顔が浮かんだ。

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写真1; ターバン。値段はない、すべて交渉次第。
写真2; 昔ながらの水売り。観光客相手のモデル業がメイン?!
写真3; サンドウィッチ屋台。モスリム向けに卵をその場で剥いて挟んでくれる。
      シンプルながら、これがウマイ!
写真4; お茶屋さんとその彼。オーナーが消えると愚痴りまくるのが笑えた。
写真5; 小ぶりのコップにこぼさず入れる。
      彼が面白がって、わたしにもやらせたが、こぼしまくった。。。
写真6; オレンジジュースの屋台。その場で絞りたてをくれる。¥100ほど。
写真7; ジャマール・エル・フナ。夕刻になると、何もない広場に店が開きはじめる。
写真8; 同じ角度から夜景。

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